昨2002年12月24日に、私たちの公開質問状(12月6日付)への貴社本部からの回答を書面で受け取りました。しかし、この回答は、私たちの質問項目一つ一つには、まったく答えていません。貴店を利用する私たち消費者のプライバシーの権利が侵害されることへの不安と疑念にかられた私たちの質問に対して、“防犯の観点から答えられない”として、まったく答えようとしないのは不誠実であり、とうてい納得できません。
この回答によっては、貴店舗において利用者の隠し撮り、および利用者の個人情報の流用が行われているのではないか、という私たちの不安と疑念は、何ら解消されないばかりか、むしろますます貴社への不信を強めざるをえません。
いまやコンビニエンス・ストアは、公共料金の支払い等に見られるように単なる私企業の商店という性格を越えて、公共空間に準じる性格を有しています。したがって、貴店における利用者の個人情報の取り扱いには、それ相応の社会的責任が伴うのです。私たちは、貴社本部に対して、利用者のプライバシー権・人権に関する私たちの質問項目の一つ一つについて、誠実に回答するように改めて要請します。
1、ドーム型カメラによる撮影は人権無視の隠し撮りではないか
前回の質問状において私たちが具体的に指摘したように、貴店に設置されているドーム型カメラは一見してはカメラと見えないような偽装をこらしており、しかもこのカメラによって、ATM(現金自動預支払機)の利用者だけではなく、貴店に出入りする全ての利用者が正面から顔・姿を撮影されています。このような隠し撮りは、利用者の人権を無視するものではないかという危惧を持っています。
しかし、貴社の回答では、この点についてまったく答えていません。回答では「防犯カメラの正常な作動が妨げられないようにするためにカバーの付いたカメラを採用した」とありますが、カメラには見えないような偽装をしている事実は明らかです。貴社は、利用者に気づかれないように撮影するという意図をごまかしている、と思えてなりません。
また回答では、このドーム型カメラを誰が管理・運用しているのか、ということについて、明らかにしていません。実際には、ATM設置者であるアイワイバンクから委託されたSOK(綜合警備保障)が、全国のセブン‐イレブン各店舗のドーム型カメラを管理・運用しています。SOKは、全国のセブン‐イレブン各店舗のドーム型カメラの映像記録を一元管理しているのではないか、と私たちは疑っております。SOKが一元管理する利用者の映像記録を利用者の承諾なしに警察などの捜査機関に提供しているとすれば大問題です。警備会社が警察と密接な関係を持っているのは社会的常識です。私たちのこの疑念に貴社は明確な回答をすべきです。
SOKがこの映像記録を一体どのように管理し、どのように利用しているのか、について答えてください。
2、はたして監視カメラの運用基準はあるのか
回答では、各店舗で管理・運用している筒型カメラに関しても、その運用基準を一切示していません。その理由として、「防犯の観点」ということが押し出されています。しかし、運用基準を示すことが、犯罪の増加につながるとは、およそ考えづらいという意味で、理由ならざる理由としかいいようがありません。
いや、そもそもこの回答では、利用者のプライバシー保護に関してただの一言も言及されていません。これは、貴社本部の人権無視の体質を示すものではないでしょうか。『サンデー毎日』(1月19日号)の記事によれば、貴社広報室は「社員や店舗オーナーの教育研修で徹底しています」と述べています。しかし、私たちが中野区の店舗のオーナーや直営店店長(社員)に 聞いたところでは、利用者の個人情報保護の観点から教育を受けたという人はいませんでした。いかなる運用基準を設け、どのような教育を行っているのか、明らかにするよう再度要求します。
3、店外の事件でも警察に映像記録を提供しているのではないか
回答では、映像記録について「警察署長の捜査資料提出依頼書が発動された場合、事件捜査のみに限定して提出する」とあります。しかし、これでは私たちが質問した「店外の事件捜査でも警察に映像記録を提出するのか、否か」という問いの答えにはなっていません。『サンデー毎日』の記事によれば貴社広報室は、「その店舗で起きた事件捜査のみに限って防犯カメラの映像を提出します」と述べています。しかし、私たちが店舗のオーナーに聞いたところ、警察からの依頼であれば店外の事件であっても映像記録を提出している、と答えました。これが実態なのではないでしょうか。店内で撮影した映像記録を利用者の承諾もとらずに外部の事件捜査に利用するのは、個人情報の目的外利用であり、憲法第13条に基づく人格権の一つである自己情報のコントロール権を侵害するものです。
貴社自身が、自らその実態を調査して公表するよう要求します。
4、警察の監視カメラネットワークづくりに与するのか
回答では、貴社は監視カメラの設置理由として、各店舗を「地域の生活安全拠点」として位置づけていることをあげています。この「生活安全拠点」とは現在警察が好んで使う言葉です。警察庁の生活安全局の主導のもとで、「安全安心まちづくり」の名の下に、「スーパー防犯灯」や歌舞伎町をはじめとする街頭監視カメラシステムなどの監視カメラを市民社会の至る所に設置しています。この「生安」は、コンビニエンスストアーを「第二の交番」と位置づけ、コンビニへの監視カメラの設置を指導しています。「生安」は、警察の監視カメラネットワークにコンビニの監視カメラも組み込むことを企んでいるのです。現に愛知県名古屋市の「サークルK」土古店に、愛知県警港署直結の超高性能監視カメラを設置し、その運用を行っています。貴社は、「生安」の要請に積極的に応えて、警察の監視カメラネットワークづくりに与していこうとしているのではないか、という危惧を私たちはもたざるをえません。
貴社は、利用者の人権保護について一体どのようにお考えなのか、私たちの公開質問状の各項目に沿って具体的に回答するように要望します。なお、この郵便到着から2週間以内に回答するように要望します。