更新:2003年11月4日(火) 14:04 (日本時間)
■ コンテンツ
■ トップ>>「NO!監視」ニュース>>第4号
トップページ
会の趣旨
主張・行動提起
「NO!監視」ニュース
監視社会の実態
コラム
マスメディアから
国外では
資料
リンク
■ お願い

当サイト及び「『NO!監視』ニュース」についてのご意見・ご感想をFAX、お手紙、Eメールでお寄せください。
投稿も募集しています。


「NO!監視」ニュース 【第4号】 2003-09-09

 
同じ改札口を2種類の監視カメラで撮影しているのはなぜか?(大江戸線月島駅)

大江戸線に設置されている3種類のカメラ

 改札口の同じ場所に@とBのカメラが設置されている( 上の写真)。これはカメラの用途が違うため。Bは、駅員がモニターしていない。国の指示で設置し、録画記録を警察の要請で提出している。

@「防災用カメラ」

階段・ホーム・改札など様々な場所に設置。駅員がモニターしているが、録画はしていない。

 

 

A「運転用カメラ」

乗務員が電車運行の安全を確認するためにホーム上に設置。録画はしていない
 

 

 

 

B「防犯用カメラ」

カメラケースに用途の表示がなく、他のカメラと形状が違う。このカメラだけ常時録画。

これが疑惑の監視カメラだ
         
 
          
 

 

  


 
1)改札口とトイレを常時録画――国の指示でカメラ設置

 私たち「監視社会を拒否する会」の調査によって、驚くべき事態が判明しました。なんと都営地下鉄の改札口やトイレ前に、もっぱら警察が捜査に映像記録を利用するための、警察専用の監視カメラが設置されているのです。
 私たちは、都営地下鉄大江戸線の各駅に設置されている監視カメラを調査している中で、駅の改札口の同じ箇所を二つのカメラが撮影していることに気づきました(上の写真)。よく見てみると、一つは、駅の階段やホームにあるカメラと同じ形状のもので、東京都交通局が設置している多くのカメラのうちの一つです。カメラケースには、「防災用カメラ」と書かれています。ところが、もう一つは、形状がまったく違います。怪しいのです。交通局以外のところが設置したものとすれば、警察によるものとしか思えません。このカメラには、「K」ないし「S」の印が付いています。不審を糺すために、私たちは、7月
17日に、都議会議員(共産党)とともに、大江戸線都庁前駅の駅務室において、都交通局の課長に取材し、その後実態を調査しました。

 

 広報課長の説明は、以下のようなものでした。都営地下鉄の駅には用途の異なる3種類の監視カメラが設置されている。一つは、駅の構内の隅々に設置されている「防災用カメラ」。これは、構内で事故が起きていないかを監視するためのもので、駅務室で駅員がモニターしている。二つめは、ホーム上に設置されている「運転用カメラ」。これは乗務員が電車の運行の安全を確認するために、ホームに設置されているもの。これらのカメラはいずれもモニターしているだけで、録画はしていない。三つめが、国の指示で設置した「防犯用カメラ」で、これはビデオテープないしハードディスクに録画している、ということでした。 交通局は、この「防犯用カメラ」を「駅のどこに設置しているかは防犯上いえない」としていますが、私たちが注目していた怪しいカメラはこれに間違いありません。
 

 実際に、駅務室内にあるこのカメラのモニター画面と録画装置を見たところ、改札口を出入りする人、トイレを利用する人の顔・姿を正面からバッチリと撮影しています(3頁の写真上)。私たちが通勤・通学の際に必ず通る改札口で、知らぬまにビデオで撮影され記録が保存されていたというわけです。 
 このカメラに関しては、駅員はまったくモニターもしていないし、映像記録を使うこともないという。では、何のために設置しているのかを問うと、「1995年の地下鉄サリン事件の後に国の指示があったので付けただけです」という回答。
 こうした「防犯用カメラ」が都営地下鉄の各駅に約5台づつ、すでに全駅に設置されていると言います。私たちが調査した都営地下鉄大江戸線には、このカメラが総数で177台設置されています(5頁表)。都営地下鉄全駅では400台以上にのぼるでしょう。

 

(2)裁判所の令状もなしに警察に記録を提出

 しかし、このモニター画面は、先の「防災用カメラ」のモニターとは反対側の壁に設置されており、駅務室の誰も見てはいないことが歴然としています。駅員が全く利用していないとすれば、実際どのような使い方をしているのでしょうか。それを尋ねると、警察が何かの事件捜査で映像記録を借りに来た際に、提出している、というのです。その際の貸し出し基準があるかと質すと、「そうした規則はない」というのです。警察が借用書を出せば、駅務区(5つほどの駅を合わせたもの)の区長、ないし駅長の判断で映像記録を提出している、と。つまり、裁判所の発行する令状もなしに、警察が自由にこの映像記録を利用しているということです。

 では、警察はどれくらいの頻度でこの記録を利用しているのでしょうか。広報課長は、「記録を取っていないのでわかりません」とごまかしました。これでは、私たちの顔や姿を撮影した映像記録がどうあつかわれているのか、わかったものではありません。「この記録の管理責任はどこにあるのか」と問いただすと、課長は、「そんなことをいわれても……」と言いかけて、途中で黙ってしまいました。慌てて、別の課長が「もちろん交通局にあります」、と答えたものの、C自分たちは国にいわれて付けただけだDというのが交通局の本音なのでしょう。

 こうしたことからすれば、この監視カメラは、予算こそ都の交通局から出ていますが、実質は警察への録画提供専用の監視カメラだといってよいでしょう。

 

(3)無断撮影・録画は違法!

 

 警察などの公権力が、裁判所発行の令状なしに個人の容貌などを撮影することは、憲法第13条の趣旨に反し、許されないとするのが、最高裁の判断です。@現行犯および犯行直後で、A証拠保全の必要性・緊急性があり、B撮影方法が一般的相当性を超えない、という三つの要件がある場合にのみ、令状がなくても、当人の合意なしに撮影することが許容される、としたのが有名な最高裁判例(1969・1224)です。その後、犯罪発生の相当高度の蓋然性が認められる場合に、予想される場所を継続的・自動的に撮影・録画することが許されるという東京高裁判決(1988・4・1)が出されています。
 駅務室にいる駅員が誰もモニターせず、また録画記録を利用もしておらず、警察から要請があった場合にのみ提供しているというこのカメラ録画装置は、事実上、公権力による撮影に等しく、1995年以来事件が起きてもいないのに撮影・録画しつづけているのは、以上の判例に照らして違法の疑いが極めて大きいのではないでしょうか。
 私たちは、今後さらにこの疑惑を解明していこうと思います。

(4)地下鉄・JR等の全駅に 同様の監視カメラがすでに 設置されている!

 ところで、私たちが入手した1995年4月19日付の「サリン問題対策の推進について」と題する「公営交通事業協会長」宛の「運輸事務次官」文書によれば、運輸省(当時)が「サリン使用犯罪の再発防止のための対策」として、「地下鉄、JR等の鉄道事業者及び空港ビル会社に対する防犯カメラの設置、増設等の要請」を行っています。交通局の広報課長がいう「サリン事件後の国の要請」とは、このことを指すと思われます。この文書の宛先は「公営交通事業協会長」なのですから、同様の要請は、都営地下鉄だけではなくすべての地下鉄・JR・私鉄になされているということです。都営地下鉄に設置されているのと同様の警察への録画記録提供専用の監視カメラが、他の地下鉄やJR・私鉄の駅にも設置されていることになります。実際、営団地下鉄のどの駅にも、JRのどの駅にも、改札口を写すドーム型カメラがたくさん設置されています。

 これまで警視庁は、2002年2月の歌舞伎町カメラが公共空間に設置した警察カメラの始まりだとしてきました。しかし、今回明らかになったことは、1995年の地下鉄サリン事件直後から警察専用カメラが、最も公共性の強い交通機関の改札口に設置されていたという驚くべき事実です。私たちがそれを利用せずには暮らせないような公共空間を公権力が常時監視しているということは、私たち市民のプライバシー権を著しく侵害するものだといわなくてはなりません。

 7月9日、東京都議会において「東京都安全・安心まちづくり条例」が制定されましたが、この条例では、コンビニエンスストアやマンション・駐車場などの経営者・管理者に対して、警察の助言にしたがって「犯罪の防止に配慮した防犯設備の設置」を、つまり「防犯カメラ」の設置を事実上義務づけています。都条例では、「都(知事部局や警視庁などすべての機関を含む)・都民・事業者が一体となった防犯活動の推進」が謳われています。今後は、都営地下鉄のカメラ(都交通局)も営団地下鉄のカメラも、警視庁と「一体」となって運用されることになるのです。また、この条例によって今後、商店街や共同住宅にも警視庁につながる監視カメラが激増するでしょう(東京都江戸川区の小岩商店街に設置された監視カメラは小岩署にもモニターが設置されています)。

 私たちは、市民のプライバシー権を著しく侵害する監視カメラの増殖に反対し、もっともっと実態を調査し問題点を究明していきます。

 

 

 

 

 

 

「防犯用カメラ」の録画装置(都庁前駅駅務室)。利用者の顔がバッチリ。

 
都交通局課長(左から2人目)に取材 
  

 

 

 

 

豊島園駅のドーム型監視カメラ

 

  【都営大江戸線各駅の警察提供用カメラ数一覧】 

   
駅 名 改札口  トイレ 総数 駅 名 改札口  トイレ 総数      
光が丘

汐留      
練馬春日町

築地市場      
豊島園 勝どき      
練馬 月島      
新江古田 門前仲町      
落合南長崎 清澄白河      
中井 森下      
東中野 両国      
中野坂上 蔵前      
西新宿五丁目 新御徒町      
都庁前 上野御徒町      
新宿 10 本郷三丁目      
代々木 春日      
国立競技場 飯田橋      
青山一丁目 12 14 牛込神楽坂      
六本木 牛込柳町      
麻布十番 若松河田      
赤羽橋 東新宿      
大門 新宿西口

     
       

合   計

129 48 177      

(光が丘駅から新宿駅まではS印、それ以降の駅はK印が付いている。
 光が丘駅から練馬駅まではドーム型カメラ)

     

10月から東京都生活安全条例の施行

           監視カメラが義務化

「東京都安全・安心まちづくり条例」は10月から施行されます。

 この条例の施行を前に東京都は、8月1日に、竹花豊・治安担当副知事(前広島県警本部長)を本部長とする緊急治安対策本部を設置しました。この治安対策本部が、9月中に都が管理する施設約700ヵ所(都庁舎、公園、学校、病院、都営地下鉄の駅など)を対象に、「防犯」上の安全点検を緊急実施する、といいます。この点検にもとづいて監視カメラ設置などの対策を強化するつもりに違いありません。

 竹花副知事は、新聞のインタビューで「防犯カメラの設置はプライバシーの侵害になるという批判もあるが」と問われ、「『安全かプライバシーか』の議論ではなく、必要な場所には設置していく」と開き直りました(8月18日付東京新聞朝刊)。市民のプライバシーの侵害などお構いなしに、都の施設を監視カメラだらけにしよう、というのです。

 さらに様々な民間施設や建物にも、先の条例にもとづく警察の「指導」によってカメラが設置されるでしょう。これらの録画記録を警察が「防犯」対策を口実に自由に利用するのは間違いありません。いまでも、事業者が管理する録画記録の警察への提供は野放し状態。商店街のカメラのモニターが警察署に設置されている場合さえもあります。これでは私たちのプライバシーが丸裸にされかねません。

 

民間団体を活用した密告社会づくり

  竹花副知事は、年内に都内のボランティア団体や民間非営利団体(NPO)など数百団体を集めて防犯問題を話し合う交流会を開くことを打ち上げました(8月13日付東京新聞朝刊)。その代表格が日本ガーディアン・エンジェルスというNPOです。この団体は繁華街を夜間パトロールし、犯罪を犯しそうだと彼らがみなした人物の摘発・通報をおこなっています。

 竹花副知事が広島県警本部長時代に、広島で、この団体が市民からの犯罪に関する情報を電話で受け付け、それを警察に通報するコールサービスをはじめました。通報で犯人が逮捕された場合には情報提供者に最高十万円の報酬を支払うという仕組みなのです。これは、市民の間の相互不信を増大させる密告制度そのもの。竹花副知事は、東京でもこのガーディアン・エンジェルスの活用を企んでいるのです。「安全・安心まちづくり」とは、「国民皆警察」思想にのっとって、市民をお上のもとに組織し密告社会をつくりだすものなのです。


このWebサイトに関するすべての著作権および関連する権利は「監視社会を拒否する会」に属します。
このサイト内の文章・画像などを、ハイパーリンクで紹介することは完全に自由です。
また、ハイパーリンク以外の形態(コピペ・フレーム・IFRAME・ILAYER含む)で、あるいはインターネット外部で紹介・引用する場合は、引用元として私たちの名称“監視社会を拒否する会”およびこのサイトのURL(http://www006.upp.so-net.ne.jp/kansi-no/index.htm)を併記してください。 Webページからの引用の場合、加えてこのサイトのトップページまたは引用元ページのいずれかにリンクをお張りください