更新:2003年3月3日(月) 09:51 (日本時間)
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■ トップ>>監視社会の実態>>生活安全条例を問う (03-03-02)
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住基ネット・監視社会反対!3・2集会 報告「生安と監視カメラ」から
 生活安全条例を問う

石埼 学(亜細亜大学法学部助教授・憲法学)


 住基ネットとも関わる動向として、各地で制定が進んでいる生活安全条例の問題について発言することが、今日の私の役割です。いくつかの「問い」を出しますので、みなさんが、それを参考に何か考えて頂ければ幸いです。生活安全条例については、「つきまとい勧誘行為の禁止」などの名目で自由な表現活動を牽制する内容も含まれていますが、今日は割愛します。


 第一点は、「安全・安心まちづくり」の問題です。


 たとえば、豊島区生活安全条例は、「区長は、共同住宅、物品販売業を営む店舗又はホテルその他の不特定かつ多数の者が利用する建物について建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)に基づく確認申請等をしようとする建築主に対し、あらかじめ防犯カメラ等安全な環境の確保に効果的な設備の設置等に関して、当該建物の所在地を管轄区域とする警察著と協議するよう指導するものとする」(第七条)という規定があります。生活安全条例におけるこの種の規定は、環境設計による犯罪予防という新しい刑事政策の一環をなしています。可視的な街並みや団地をつくることで、犯罪を行おうとする者に、「誰かから監視されている」と感じさせることによって、犯罪を思いとどまらせようという刑事政策です。監視カメラを設置したり、建物の構造に工夫を施したり、公園や団地の植え込みを無くしたり、建物や樹木の配置を工夫したりするわけです。豊島区生活安全条例第七条をみれば分かるように、ことは監視カメラだけにとどまりません。「防犯カメラ等安全な環境の確保に効果的な設備の設置等」について、建物の建築主は、警察と協議しなければならないのです。「死角のない街並み」は、犯罪を行おうとする者だけではなく、すべての住民にとって「死角」がないことを意味します。裏返せば、「隠れ場所のない街並み」です。果たして、このような街並みが、居心地のいいものどうか、今日、お集まりにみなさんをどうお感じでしょうか?「死角のない街並み」を望みますか?


 第二点は、ボランティアの問題です。


 住基ネットや監視カメラなど、公権力が推進する管理・監視と一体のものとして、犯罪予防・環境美化などの活動への住民のポランクリィーな参加を公権力は強く求めています。千代田区生活環境条例には、「区民等は、相互扶助の精神に基づき、地域社会における連帯意識を高めるとともに、相互に協力して、安全で快適なまちづくりの自主的な活動を推進するよう努めなければならな」(第四条二項)という規定があります。千代田区では、現在、区民のボランティアによる環境美化・浄化団体づくりが進められてます。問題は、行政・警察が、住民意識を啓発して、住民が自発的に環境美化・浄化あるいは防犯活動に参加することを望んでいる点です。防犯協会、町内会、商店会、PTAあるいは「地域安全」を活動目的とするNPO法人といった既存の住民団体を組織化し、そうした仕組みを利用して、防犯活動への住民の参加を促すというのが、生活安全条例の基本的性格です。住民を啓発し、防犯意識・規範意識を住民に植え付け、防犯活動等に参加させるというのです。実は、規律の対象になっているのは、当の参加する住民ではないでしょうか? また、日常的な住民動員によって、路上喫煙、ポイ捨て、チラシ配り、ペットの糞尿の放置などがなされないように、ボランティア精神も高らかに住民が住民を規律することが、本当にいいことなのでしょうか?


 なんだか、やたらと規律正しく明るく生活しないといけないような社会が到来しそうですが、本当にそれでいいのでしょうか?


参考文献
 ・渡辺治・三輪隆・小沢隆一編『有事法制のシナリオ』旬報社
 ・石埼学・清水雅彦「あなたの安全を守ります!? ――警察国家化を推進する『生活安全条例』――」
      法学セミナー二〇〇二年一二月号
 ・石埼学・清水雅彦「特集=日本国憲法を糎殺する『生活安全条例』」
      マスコミ市民二〇〇二年一二月号
                                                            以上


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